日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
原著
術前化学放射線療法を行った進行直腸癌症例の検討
森内 博紀池松 禎人小坂 太一郎大菊 正人黒田 宏昭山本 孝夫西脇 由朗木田 栄郎脇 慎治飯島 光晴
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42 巻 (2009) 3 号 p. 238-246

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抄録

 はじめに:進行直腸癌に対する術前化学放射線療法(chemoradiation therapy;以下,CRT)の成績および効果について検討した.方法:当院で術前CRTを施行した進行直腸癌28例(1991年1月~2004年10月)と手術単独74例(1997年1月~2003年12月)を対象とした.いずれの群も臨床病期はstage II~III期例で,CRT群は放射線照射計40 Gyおよび主に5-FU系をベースとした抗がん剤を4週間投与後,約2週間後に手術施行を基本とした.結果:それぞれ累積5年生存率73.2% vs. 67.5%(n.s.),累積5年局所再発率11.1% vs. 32.9%(p<0.05)とCRT群で良好な局所制御が得られた.術後遠隔転移率はそれぞれ21.4% vs. 15.9%(n.s.)と差はなく,CRT群に手術待機期間での遠隔転移例は認めなかった.CRT群において奏効率(CR+PR)は78.6%,治癒切除率(CurabilityA+B;以下,CurA+B)は92.9%,直腸切断率(以下,APR率)は39.3%(低位前方切除術17例,腹会陰式直腸切断術11例),術後合併症は42.9%に生じた.組織学的照射評価で癌が完全に消失した例をpathological CR(以下,pCR)とするとpCR率は14.3%(28例中4例)で,4例とも現在局所再発,遠隔転移を認めていない.考察:術前CRTによって切除標本のpCR率を増加させるような集学的治療法の工夫により,今後さらに局所再発を減じ,予後をも改善する可能性があると思われた.

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