42 巻 (2009) 8 号 p. 1371-1376
症例は46歳の男性で,胸部食道癌の診断で精査入院中,突然の右側胸部から季肋部に至る激痛と発熱が出現した.胸部CTで縦隔気腫および右側胸水を認め,食道癌穿孔と診断された.当科に紹介入院後,緊急手術が施行された.右胸腔内に黄白色胸水の貯留があり,食道癌の穿孔の所見を認めた.手術は右開胸開腹による食道亜全摘,胸壁前経路胃管再建および右胸腔内の洗浄ドレナージを行った.摘出標本では胸部中下部食道に7.5×4.0 cmの2型食道癌を認め,潰瘍底に穿孔部が確認された.病理組織学的には中分化型扁平上皮癌,pT3,infβ,ly3,v2と診断され,胃周囲リンパ節に計12個の転移を認めた.術後経過は良好で,追加治療として化学放射線療法を行い,さらに再発病変に対して化学療法を行い,22か月間生存された.今回,1期的切除再建により救命し,その後集学的に治療ができた食道癌穿孔症例について文献的考察を含め報告する.