43 巻 (2010) 1 号 p. 95-100
腹腔内癌術後の腹腔内デスモイド腫瘍の診断は,癌再発との鑑別が困難である.症例は70歳の男性で,上行結腸癌(SE,N0,H0,M0,P0:Stage II)に対して腹腔鏡補助下結腸右半切除術を施行した.術後1年6か月目の画像検査で十二指腸腹側に径3 cmの腫瘤を認め,CT,MRIではリンパ節再発を疑う所見であったが,positron emission tomography(以下,PET)-CTではSUVの最大値は早期相1.95から後期相2.05と軽度上昇にとどまり,癌再発は否定的であった.手術は十二指腸壁と上腸間膜静脈壁の一部を合併切除する腫瘍摘出術を行った.病理組織学的検査では結腸腸間膜原発デスモイド腫瘍と診断され,PET-CTでの術前診断が癌再発との鑑別に有用であると判断された.家族性大腸腺腫症を伴わない腹腔内手術後の腹腔内デスモイド腫瘍発生はこれまで20例が報告されているが,本症例のごとく腹腔鏡手術後発生の報告はない.