43 巻 (2010) 11 号 p. 1165-1169
症例は47歳の女性で,下腹部痛と発熱を主訴に当院救急外来受診.腹部に圧痛,軽度の筋性防御,腹膜刺激症状を認めた.血液生化学検査所見ではWBC 11,800 /mm3, CRP 20.6 mg/dlと上昇し,腹部単純CTでは腹腔内に腫瘤影を認め,精査加療目的で入院となった.腹部造影CT,腹部MRIなどの諸検査により,多発腸間膜脂肪腫または脂肪肉腫の捻転による腹膜炎を疑い開腹術を施行した.腫瘍は多発性に空腸間膜より有茎性発育し,骨盤内で捻転し血流障害と炎症を来していた.可能なかぎりの腫瘍切除術を施行したが,上腸間膜動脈根部付近の腫瘍は切除不能であった.病理組織学的検査で多中心性発生した脱分化型脂肪肉腫と診断した.遺残腫瘍が徐々に増大し,術後3年6か月の間に3回の腫瘍切除術を行い,現在も外来通院中である.