日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
Granulocyte-Stimulating Factor産生胃癌の1例
須浪 毅伏谷 英朗木村 賢太郎雪本 清隆澤田 隆吾阪本 一次山下 隆史
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2010 年 43 巻 4 号 p. 370-377

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抄録
 症例は81歳の男性で,体動時の息切れを主訴に受診.著明な貧血を認め,精査目的にて入院.内視鏡検査にて胃前庭部およびS状結腸に2型腫瘍を認め,生検にてそれぞれ低分化腺癌,高分化腺癌と診断.腹部CTでは多発性の肝転移を疑うspace-occupying lesion(以下,SOL)を認めた.胃癌,S状結腸癌に対して幽門側胃切除術(D1+α),S状結腸切除術(D2)を施行した.進行度は,胃:T2(SS)N1P0M0,S状結腸:T2(SS)N0P0M0であった.肝SOLに対して術中肝生検を施行したが,異型細胞を認めず,術後1か月目のCTにて肝SOLの縮小を認めたため経過観察とした.その後,SOLの増大,白血球数の増多(28,700 /μl)を認め,肝膿瘍も否定できず再度肝生検を施行したところ,胃癌と同じ異型細胞を認めた.血清G-CSF濃度は256 pg/mlと高値,原発巣はG-CSF陽性でありG-CSF産生胃癌,肝転移と診断した.TS-1を投与するも奏効せず,術後7か月目に死亡した.
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