日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
S状結腸癌副腎転移との鑑別に難渋した副腎原発腺腫様腫瘍の1例
塩見 明生絹笠 祐介齊藤 修治橋本 洋右富岡 寛行上坂 克彦寺島 雅典朝倉 弘郁佐々木 恵子
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2010 年 43 巻 4 号 p. 472-478

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抄録
 症例は65歳の男性で,貧血の精査でS状結腸癌とともに,左副腎に3 cm大の境界明瞭な充実性腫瘤を認めた.副腎腫瘤は造影CTで後期相まで造影効果が遷延し,MRIでT1強調・T2強調画像ともに等信号を呈した.また,positron emission tomography/computed tomographyで異常集積を認めた.以上から,S状結腸癌および副腎転移と診断し,S状結腸切除および左副腎摘出を施行した.副腎腫瘍の病理組織学的検査結果は,扁平~立方状の腫瘍細胞が大小の管腔を形成しており,免疫組織学的にAE1/AE3(+),Calretinin(+),Vimentin(+),CD31(−),D2-40(−),S-100蛋白(−)の中皮由来腫瘍で,副腎原発腺腫様腫瘍と診断した.副腎原発腺腫様腫瘍はまれで,28例の報告があるが,その画像的特徴を詳細に述べた報告は過去1編のみである.
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