43 巻 (2010) 9 号 p. 929-934
患者は25歳の女性で,2007年9月中旬に上腹部痛を自覚し,近医を受診した.腹部超音波検査で肝腫瘤を指摘され当院へ紹介となったが,来院中に腹痛の増強あり救急外来へ搬送となった.当院到着時頻脈,血圧低下を認め,腹部超音波検査上,モリソン窩,ダグラス窩,左横隔膜下に出血が疑われた.肝腫瘍破裂と診断し腹部造影CTを行ったところ,肝S3の腫瘤と,その周囲への血管外漏出を認め,緊急血管造影にて止血術を行った.入院後のダイナミックCT,MRI,造影超音波精査により腫瘍径約70 mm大の内部に壊死を伴う動脈血流豊富な腫瘍と診断された.AFP,protein induced vitamin K absence(PIVKA)-II高値であることから肝細胞癌が最も疑われ,手術を予定した.開腹所見では肉眼的に腹膜播種は認めず,肝外側区域切除を施行した.術後経過は良好で術後7日目に退院となった.病理組織学的には中分化型肝細胞癌であり,術後21か月経過するが現在のところ再発所見を認めていない.