日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
小腸原発sarcomatoid carcinomaの1例
山吉 隆友伊藤 重彦木戸川 秀生大谷 博
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2011 年 44 巻 10 号 p. 1293-1299

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抄録
 小腸原発肉腫様癌の1例を経験した.症例は74歳の男性で,近医にて貧血を指摘され当院を受診した.小腸造影検査にて下部小腸に陰影欠損,腹部CTにて小腸間膜内のリンパ節腫大を認め,小腸原発悪性腫瘍の診断で手術を行った.回盲弁より70cm口側の回腸に約4cm大の腫瘍性病変を認め,また同部を栄養する上腸間膜動脈周囲に腫大したリンパ節を伴っており,これらを一括して切除した.病理組織学的および免疫組織化学的検索にて腫瘍細胞はAE1/AE3,CAM5.2やEMAなどの上皮性マーカーに加え間葉系マーカーであるvimentinが陽性で,CEA,c-kit,CD34は陰性であり,小腸原発の肉腫様癌と診断した.術後は肝転移の急速な増悪を認め,術後40日目に死亡した.小腸原発の肉腫様癌は自験例を含めて22例の報告があるのみとまれであり,文献的検討を加えて報告する.
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