44 巻 (2011) 3 号 p. 318-324
症例は32歳男性.既往にクローン病.腹痛,腰痛を主訴に当院入院.大腸内視鏡検査にてS状結腸に全周性の狭窄病変を認め,生検でgroup5であった.MRIで脳転移,多発骨転移を認め,多臓器転移を伴う4型大腸癌と診断した.精査中に播種性血管内凝固症候群(DIC)を発症したため骨髄癌症と診断し対症療法を施行中のところ,腫瘍穿孔を来したためHartmann術を施行した.術後,DICの増悪からlife-threateningな状態に陥ったため,oxaliplatin/5-fluorouracil/leucovorin(以下,mFOLFOX-6と略記)療法を開始した.その結果,初回投与で速やかなDICからの離脱がみられ,さらに継続することで転移巣の縮小や全身状態の改善がみられた.大腸癌を原発とした骨髄癌症はまれで,いったん発症すると化学療法を行っても予後不良とされる.本例は大腸癌骨髄癌症にmFOLFOX-6が奏効し延命しえた,希有な症例のひとつと考えられる.