日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
鈍的外傷による総胆管完全離断の1手術例
佐藤 武揚赤石 敏海野 倫明佐々木 巌里見 進
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44 巻 (2011) 7 号 p. 848-854

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抄録

 症例は20歳の女性で,平成21年12月,乗用車運転中に対向車と正面衝突した.精査にて腹腔内出血,肝・膵・脾損傷と右大腿骨骨幹部骨折を認め当院へ入院した.来院時全身状態は安定しており,血管造影検査を行い明らかな造影剤の漏出がないことを確認し,保存的に経過観察とした.受傷後8日に上腹部に限局した腹膜刺激症状が出現しCTを行ったところ,網嚢内に限局した腹水貯留を認めた.胆道損傷を疑い受傷後9日目に緊急手術を行った.肝臓,脾臓からは出血を認めず膵臓は全体に腫大していた.肝十二指腸間膜の検索にて総胆管の完全断裂を認め,胆嚢摘出,術中胆道造影,総胆管空腸吻合術を行った.術後経過は良好で近医へ転院した.鈍的外傷による胆管損傷はまれな病態であり,損傷形態としては総胆管完全離断を来すことが多い.鈍的外傷による複数の臓器損傷から発症初期に胆管損傷を診断することは困難であり注意が必要である.

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