日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
縦隔リンパ節転移の除外診断に胸腔鏡下生検が有用であった術前DCS療法後の治癒切除進行胃癌の1例
山崎 祐樹伏田 幸夫尾山 勝信木下 淳牧野 勇中村 慶史藤田 秀人二宮 致藤村 隆太田 哲生
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2012 年 45 巻 3 号 p. 258-266

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抄録

 術前DCS(docetaxel,cisplatin,TS-1併用)療法が著効した大動脈周囲リンパ節転移を伴う進行胃癌を経験した.また,胸腔鏡下生検が縦隔リンパ節転移の除外診断に有用であったので報告する.症例は70歳の男性で,噴門直下から角上部に及ぶ大型の2型腫瘍を認めた.大動脈周囲・縦隔を含め多数のリンパ節腫大を認めた.DCS療法を2コース行い,原発巣・リンパ節転移巣ともに著明に縮小した.しかし,縦隔リンパ節に変化はなくPET-CTでも淡い集積を認め転移も否定できないため,胸腔鏡下に縦隔リンパ節生検を行ったところ,転移を認めなかった.根治切除可能と判断し大動脈周囲リンパ節郭清を伴う胃全摘術を行った.組織学的に腫瘍の大部分は壊死に陥り,原発巣の一部と壁在リンパ節1個にごく僅かに腫瘍細胞が残存していた.現在,術後2年が経過しているが,無再発生存中である.

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