日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
遺残リンパ節転移に対する膵頭十二指腸切除術を施行し長期生存が得られた大動脈周囲リンパ節転移陽性胆囊癌の1例
奥田 耕司三澤 一仁
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2012 年 45 巻 6 号 p. 623-629

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抄録

 大動脈周囲リンパ節転移陽性胆囊癌の予後は極めて不良である.今回,大動脈周囲リンパ節転移陽性胆囊癌の遺残リンパ転移に対して膵頭十二指腸切除を施行し,長期生存が得られた症例を経験したので報告する.症例は51歳の男性で,胆囊癌に対して拡大胆囊摘出術を施行した.手術所見で膵頭後部リンパ節転移が疑われ,郭清には膵頭十二指腸切除が必要であったが,大動脈周囲リンパ節転移が陽性であったため膵頭十二指腸切除術は施行せず,放射線療法を施行したうえで経過観察とした.その後,膵頭後部リンパ節の増大を認めたが,新たな転移性病変の出現なく経過したため,初回手術から4年後に,遺残リンパ節転移の郭清を伴う膵頭十二指腸切除を施行した.現在,再手術後から5年経過しているが,再発や転移なく健存中である.免疫組織化学的検討にて,腫瘍内の免疫細胞浸潤が著明であったことから,抗腫瘍免疫反応が長期生存の一因と考えられた.

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