日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
憩室炎との鑑別が困難であった4型大腸癌(inflammatory type)の1例
眞鍋 恵理子進士 誠一小泉 岐博菅 隼人山田 岳史高田 英志松田 陽子内藤 善哉内田 英二
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2015 年 48 巻 9 号 p. 789-797

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抄録

 症例は67歳の男性で,左下腹部痛を主訴に受診し,血液検査で高度の炎症所見を認め,腹部CTで憩室炎と診断し緊急入院した.大腸内視鏡検査ではS状結腸に亜全周性の狭窄,粘膜面の浮腫状変化と発赤を認め,内視鏡は通過できず,また,生検で悪性所見は指摘されなかった.保存的治療を行うも,腹痛と炎症反応の上昇が再燃したためS 状結腸切除術を施行した.病理組織学的検査ではtub1,SS,N2であり4型S状結腸癌,特に高分化腺癌が癌性リンパ管症を伴うことなく顕著な炎症細胞浸潤と線維化とともに伸展して高度狭窄を来すinflammatory typeと考えられた.その後,リンパ節郭清を目的に追加腸切除を行い,術後補助化学療法を施行後18か月無再発である.繰り返す憩室炎では4型大腸癌の可能性を考慮する必要があり,さらにinflammatory typeに相当する貴重な症例と考えられ報告する.

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