2015 年 48 巻 9 号 p. 798-807
症例1は73歳の男性で,貧血による体動困難で救急搬送された.腹部CTで上行結腸に悪性腫瘍を疑う壁肥厚があり,微小穿孔が疑われたため緊急手術を行った.腫瘍は肝臓への直接浸潤と腸間膜側への穿通を認め,結腸右半切除術でen-blocに切除した.病理組織学的検査で腫瘍の一部に角化があり,腺管構造は認めず,上行結腸原発扁平上皮癌と診断した.術後2年10か月無再発経過観察中である.症例2は50歳の男性で,右下腹部痛を主訴に受診した.腹部CTで上行結腸に壁肥厚があり,後腹膜側に膿瘍を形成,肝両葉には転移性病変を認めた.上行結腸癌後腹膜穿通,多発肝転移の診断で緊急手術を行った.回盲部切除を施行したが剥離断端は陽性となった.病理組織学的検査で上行結腸原発の扁平上皮癌と診断した.術後,肝転移が急速に増悪し,化学療法を行ったが術後53日目に癌死した.結腸原発の扁平上皮癌は極めてまれであり報告する.