日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
結腸癌術後11年目に再発した胆管転移の1例
宇野 雅紀松永 和哉松崎 安孝神谷 里明松永 宏之川井 覚高木 健司冨田 明宏河南 晴久溝口 良順
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キーワード: 大腸癌胆管転移, CK7, CK20
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2016 年 49 巻 1 号 p. 15-21

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抄録

 症例は76歳の男性で,1998年にS状結腸癌に対してS状結腸切除術を受けた.病理組織学的診断はtub2,ss,n(–),ly0,v0,Stage IIであった.2009年7月に近医血液検査で肝機能異常を指摘され当院を受診した.CTで右前区域胆管内に膨張性発育を呈する腫瘍を認めた.右前区域胆管原発の胆管内発育型肝内胆管癌と診断し,右門脈の経皮経肝門脈塞栓術ののち肝右葉尾状葉切除,肝外胆管切除術を施行した.病理組織学的診断では大腸癌類似の高分化型管状腺癌であり,正常胆管上皮を置換するように進展,増殖をしていた.免疫組織染色で腫瘍細胞はCK7(–),CK20(+),CDX2(+)と既往の大腸癌と同じパターンを呈したことからS状結腸癌の胆管転移と診断した.大腸癌の胆管転移はまれであるうえに術後10年以上経過して出現したため胆管癌との鑑別に苦慮した.診断に免疫組織染色が有用であったため報告する.

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