日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
経肛門的切除後23年目に左側方リンパ節再発した直腸neuroendocrine tumor G1の1例
梅田 晋一菱田 光洋神野 敏美清水 稔小林 裕幸野嵜 英樹原田 智子
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2016 年 49 巻 6 号 p. 556-562

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抄録
 症例は66歳の男性で,腹部CTにて左内腸骨動脈近傍に23 mmの腫瘤を偶然指摘された.既往に23年前7 mm直腸カルチノイドに対する経肛門的切除術があった.直腸カルチノイドの左側方リンパ節転移を疑い摘出術を施行した.摘出標本の病理組織学的検査所見では,腫瘍細胞は胞巣状に増生し,基底層側にpalisadingが見られた.クロモグラニンA陰性,シナプトフィジン強陽性,CD56強陽性,Ki-67 2%,核分裂像0/10HPFであり,neuroendocrine tumor(以下,NETと略記)G1の所見であった.23年前の摘出標本を免疫染色検査で再検したところ,同様の所見であったためNET G1の異時性リンパ節転移であると診断した.10 mm以下,脈管侵襲のないNET G1がリンパ節転移を来す例や,10年以上の経過で異時性転移を来す例は非常にまれであり,貴重であるため報告する.
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