2016 年 49 巻 8 号 p. 772-779
症例は49歳の男性で,約1年半前に,突然の腹痛を主訴に当院へ紹介された.腹部造影CTにて上腸間膜動脈解離を指摘され,同時に腸回転異常症に伴う中腸軸捻転の所見を認め,入院となった.保存的治療にて速やかに改善したため,外来にて経過観察されていた.今回,前日からの腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した.腹部造影CTにて中腸軸捻転の所見を認め,捻転部での通過障害が疑われた.腸管血流障害の所見を認めなかったため,保存的治療を行ったが改善せず,腹腔鏡下に中腸軸捻転の解除術と虫垂切除術を施行した.Treitz靭帯は無形成で,上腸間膜動脈の腹側に十二指腸,背側に横行結腸を認めるreversed rotationの腸回転異常症であった.術後経過は良好であった.成人腸回転異常症に伴う中腸軸捻転に対する腹腔鏡下手術は,腸管血流障害の危険がなく,十分な術前精査が可能である症例に対しては有用であると考えられる.