2021 年 54 巻 4 号 p. 262-269
症例は80歳の男性で,発熱を主訴に前医を受診した.肝機能障害を認め,腹部造影CTで総胆管,肝内胆管の拡張と,遠位胆管に造影効果が乏しい腫瘤を認めた.遠位胆管癌疑いの診断で手術加療目的に当科紹介となった.内視鏡的逆行性胆管造影では遠位胆管に5 cmに渡る狭窄像を認めた.胆汁細胞診でclass IVを認め,遠位胆管癌cT2N0M0,cStage IBと診断し膵頭十二指腸切除術,領域リンパ節郭清を施行した.病理組織学的所見では,遠位胆管に紡錘細胞主体の全周性腫瘍を認めた.免疫組織染色検査で上皮系マーカーCK(AE1/AE3),CAM5.2および間葉系マーカーvimentinがともに陽性であり,「いわゆる癌肉腫」と診断した.術後補助化学療法としてゲムシタビン単剤投与を半年間施行し,術後1年無再発生存中である.