日本消化器外科学会雑誌
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原著
急性胆囊炎に対する緊急手術例の至適な手術時期と超高齢者での安全性についての検討
長田 圭司飯田 拓原田 樹幸森 彩松浦 正徒中村 公治郎塩田 哲也岩﨑 純治伊丹 淳京極 高久
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2021 年 54 巻 7 号 p. 447-455

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抄録

目的:急性胆囊炎に対する治療は,急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドラインやTokyo Guidelines 2018に基づき早期手術が推奨されており,当院における緊急手術例の治療成績から早期手術の安全性について検証した.方法:2013年11月から2018年10月までに,当院で施行した急性胆囊炎に対する緊急手術例201例を対象とし,1)急性胆囊炎発症から手術までの期間(72時間以上:n=42/未満:n=159)と2)年齢(85歳以上:n=23/未満:n=178)に基づき各々2群に分類し,その治療成績の詳細を後方視的に検討した.結果:1)発症から72時間未満の早期手術群では晩期手術群と比較し,有意に腹腔鏡下胆囊摘出術施行率が高く(82.4% vs 57.1%;P=0.0005),術中出血量が少なく(92.9 ml vs 185.1 ml;P<0.0001),術後合併症率は低値(6.3% vs 16.7%;P=0.03),術後入院期間は短期であった(7.4日vs 8.5日;P=0.029).2)超高齢者群(85歳以上)では非超高齢者群と比較し,腹腔鏡下胆囊摘出術施行率や合併症発症率に差は認めなかったが,有意に術中出血量は増加し(166.1 ml vs 105.2 ml;P=0.04),術後入院期間は延長した(14.2日vs 6.8日;P=0.0001).結語:急性胆囊炎に対する外科的治療の成績は概ね良好で,安全に施行可能であった.ただし,発症から72時間以上経過した症例や85歳以上の超高齢者の緊急手術例では出血量の増加と入院期間の延長を認め,厳重な周術期管理を要すると考えられた.

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