2024 年 57 巻 12 号 p. 625-633
症例は19歳の男性で,腹痛を主訴に当院救急外来を受診した.腹部単純CTで膵体部に腫瘤影を認めたため,精査目的に当院消化器内科に紹介となった.腹部造影CTで膵体部に30 mm大の淡い低吸収域を認め,同病変に対して超音波内視鏡下穿刺吸引を施行した.病理組織学的に膵充実性偽乳頭状腫瘍(solid-pseudopapillary neoplasm;以下,SPNと略記)が疑われ,当科に紹介となり手術を施行した.手術は膵機能温存を考慮して,膵中央切除術を行った.膵頭部断端において主膵管は非吸収糸で刺通結紮処理を行い,膵尾側断端は挙上空腸間で膵腸吻合を行った.病理組織学的に膵SPNと診断した.術後経過は問題なく術19日後に軽快退院した.術後12か月が経過したが再発所見はなく,耐糖能異常もなく経過している.若年男性に発症したSPNは極めてまれであり,ここに報告する.