日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
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症例報告
食道胃接合部癌術後の難治性食道空腸吻合部縫合不全に対して内視鏡的食道ステント留置が著効した1例
大島 一真田中 毅藤田 正博舩坂 好平芹澤 朗子秋元 信吾中内 雅也柴崎 晋稲葉 一樹宇山 一朗廣岡 芳樹須田 康一
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2025 年 58 巻 10 号 p. 555-564

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抄録

消化管手術後の縫合不全に対して,欧米ではフルカバードステント挿入による瘻孔閉鎖が多く報告されているが,本邦では保険収載がなく報告は少ない.今回食道胃接合部癌術後の縫合不全に対して,内視鏡的にフルカバードステントを留置して良好な経過を得られた症例を経験した.症例は49歳の男性で,食道胃接合部癌に対してロボット支援下部食道噴門側胃切除術を施行した.術後2日目に縫合不全を認め,術後9日目に胸腔鏡・腹腔鏡下洗浄ドレナージ,穿孔部の縫合閉鎖・大網被覆を行ったが再度縫合不全を認めた.炎症のコントロール不良であり術後27日目に内視鏡下にHanaroSTENT 18 mm×80 mmを挿入した.その後速やかに臨床症状の改善が得られ,瘻孔の縮小を確認してステントを抜去し,術後95日目に退院した.難治性縫合不全に対してフルカバードステント留置は保険適用外ではあるが,低侵襲で有用な治療選択肢である可能性が示唆された.

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