当院で経験したサイトメガロウイルス(cytomegalovirus;以下,CMVと略記)腸炎による消化管穿孔の9例を後方視的に検討した.年齢中央値は76歳,男性6例,女性3例であった.8例は間質性肺炎,膠原病,悪性腫瘍などの基礎疾患を有し,ステロイドや抗がん剤を使用していた.穿孔部位は小腸7例,大腸2例であった.術前にCMV腸炎と診断した2例と,術後同日にCMV核酸定量PCR法により診断・治療開始した1例は生存退院した.一方,術後にアンチゲネミア法や病理組織学検査で診断した6例では,抗ウイルス薬の開始が術後3~18日,2例が在院死となった.本検討から,消化管穿孔症例におけるCMV腸炎の鑑別と,CMV核酸定量PCR法を用いた診断が早期治療開始および予後改善に有用であることが示唆された.基礎疾患を有し免疫抑制状態にある消化管穿孔症例は,CMV感染を念頭に,迅速な診断体制の整備が求められる.