12 巻 (1979) 4 号 p. 253-256
直腸癌に対して5-FU坐薬を試作し, その術前投与に関して基礎的・臨床的研究を行った.基礎的実験で5-FU坐薬は末梢血, 門脈血, リンパ節への移行と高濃度の薬剤が大腸壁組織にみられた.臨床例でも同じように腫瘍組織に高濃度の薬剤とリンパ節への移行がみられた.42例の直腸癌患者に坐薬400mgを連日10日以上投与した.切除例のうち29例にその効果をみると, 2,000mg以上の投与例に腫瘍の縮小, 癌周提の平坦化などがみられ, 組織学的に癌細胞の変性・融解・壊死などの変化を示し有効と判定されたものは50%であった.肛門部痛, テネスムス, 出血などの副作用がみられたが重篤なものではなく, 血液, 肝機能障害はみられなかった.