日本消化器外科学会雑誌
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術後ガストリン, セクレチン, コレシストキニン分泌よりみた膵頭十二指腸切除術の再建法の検討
山下 裕一納富 昌徳磯本 浩晴掛川 暉夫笠原 小五郎宮田 道夫森岡 恭彦
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1985 年 18 巻 5 号 p. 943-951

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抄録

空腸上部の膵外分泌機能に果たす役割について消化管ホルモン面から検討した.
RIA法によりヒト消化管組織内の消化管ホルモン濃度を測定した結果, ガストリンは胃前庭部および十二指腸に高濃度に存在した. セクレチンならびにコレシストキニンは十二指腸および空腸上部に高濃度に存在した.
PD後の再建法で空腸上部が空置されるRoux-Y法症例 (n=13) と同部に食物が通過するmodmed Roux-Y法症例 (n=10) のガストリン, セクレチン分泌機能を比較した, ミートソース経口摂取によるガストリン検査では, 前者の前値は27.8±7.9pg/ml, 後者は27.5±7.6pg/mlであり差は認めず, 摂取後の変動も認めなかった. 0.1N塩酸の残胃内投与による血中セクレチン濃度の変動は, 前者は前値が68.3±21.4pg/mlから107.4±42.4pg/mlの頂値となり, 後者は前値が79.7±23.7pg/mlから150.6±33.6pg/mlの頂値となり後者が有意に高い値を示した.
以上より空腸上部は, 十二指腸と共に膵外分泌を刺激する重要な部位と考えられた.

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