19 巻 (1986) 10 号 p. 2096-2099
昭和38年より60年までの過去23年間に当科に入院した胸部食道癌753例を70歳以上の高齢者群と69歳以下の対照群に分けて検討した.高齢者は128例 (17.0%) を占めた.高齢者群の切除率は61.7%であり, 切除例の36.7%に分割手術が施行された.高齢者群では高血圧の既往を有する例が多く, 術前検査では拘束性呼吸障害, 腎機能障害を有する例が多かったが, 術後の合併症の発生率は対照群と比べてほぼ同等であった.直死率も両群で差はみられず, 特に最近の11年間では高齢者群4.1%, 対照群2.8%と低率に抑えることができた.高齢者に対しても手術適応ならびに一期手術適応の選択を適切に行えば, 食道癌の手術を安全に行えると思われる.