日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
肝原発性yolk sac tumorの1例
鳴海 俊治百田 行雅須貝 道博佐々木 睦男大沼 裕行松田 恵司伊藤 恭雄
著者情報
ジャーナル フリー

23 巻 (1990) 1 号 p. 85-89

詳細
PDFをダウンロード (9396K) 発行機関連絡先
抄録

肝原発yolk sac tumorはまれな疾患で現在までの報告は3例のみだが, 27歳女性の1例を経験した. 主訴は右側腹部痛, 右肩方散痛で腹部ultrasonography (以下US) にて肝膿瘍を指摘された. 生化学検査ではα-fetoprotein (以下AFP) とlactate dehydrogenase (以下LDH) が非常に高値を示した. 吸引細胞診で肝細胞癌が強く疑われ, 肝右葉切除を施行した.術後病理組織検査で肝原発yolksac tumorと診断された. 術後4か月目に咳嗽と腹部腫瘤を訴え, computed tomographyで右胸水と大網転移が認められ, AFPの再上昇も認めた. Cisplatin, Vinblastin, Bleomycinによる化学療法 (PVB) で胸水の消失, 転移の著明な縮小, AFPとI型優位のLDHの低下をみた. しかしその7か月後, AFPとLDHの急増, 転移の増大, 腹水が発現し, 術後1年4か月目で肝不全にて死亡した. 本症の診断にはUSと血管過影が有用で, AFPとI型優位のLDHは病状をよく反映した. 治療はPVBによる化学療法が有効であった.

著者関連情報
前の記事 次の記事

閲覧履歴
feedback
Top