抄録
血流遮断下における肝切除時の虚血障害の病態を, 血中thromboxane A2 (TXA2), prostaglandin I2産生量の推移から検討した.雑種成犬にて25%肝切除群 (contro1群), 60分肝血流遮断後25%肝切除群 (clamp群), OKY.046投与+60分肝血流遮断後25%肝切除群 (OKY群) を作成し, 術後, 血中prostaglandins値, 肝機能, 血液凝固機能および肝組織について検索した.術後thromboxane B2値はclamp群で, control群, OKY群に比べ有意に高値をとり, 一方6-keto-prostaglandin F1α値には差を認めなかった.肝機能, 血液凝固機能では, clamp群で肝細胞障害に一致する異常値をとり, control群, OKY群との間で有意差を認めた.術後7日目の肝組織像では, clamp群で小葉中心性凝固壊死を認めたが, control群, OKY群では異常所見を認めなかった.以上の成績より, 肝虚血障害時におけるTXA2の重要性, ならびに肝虚血障害防止を目的としたTXA2合成酵素阻害剤の有用性が示された.