23 巻 (1990) 3 号 p. 695-704
Enteroglucagon (EG) の胃酸分泌抑制作用およびEG分泌とGIP分泌との関連について実験的に検討した.遠位回腸を空腸上部に有茎移植するモデルileo-jejunal transposition (IJT) が高EG血症を来すモデルであることに着目し, イヌ16頭を用いて, IJTおよびsham operationを施行し, その術前後でHeidenhain pouch (H-P) よりの胃酸分泌および消化管ホルモンについて検討し, 以下の成績を得た.1.IJT術後は高EG血症が認められた.2.IJT術後はgastrinの著明な上昇およびH-Pよりの胃酸分泌亢進が認められた.このことはEGのenterogastrone作用を支持する結果ではなかった.3.IJT術後はGIPが60分から90分で有意の分泌抑制を認めたが, これのみでIJT後の胃酸分泌亢進を説明することは難しいと考えられた.またEG分泌とGIP分泌との間には関連が認められなかった.以上より, 本モデルにおいて生じる高EG血症の胃酸分泌に与える影響は少ないと考えられた.