23 巻 (1990) 8 号 p. 2033-2038
進行胃癌に対する大動脈周囲リンパ節(以下No.16と略す)の完全郭清術(R4)の好成績の原因と,R4の適応因子を得るためR4拡大郭清を行った87例について検討した. 87例のうちn4は24例であった. 術中にN4と診断しえなかったn4症例11例においては,No.16転移リンパ節のうち最大径を有するリンパ節の割面は,微小径で,径が小さく,同部における併存転移個数の少ない症例が多かった. またNo.16転移症例は全例2群リンパ節に転移を認め,特にNo.7,9,10,11に多かった. No.16転移と組織型との間には相関はなかったが,深達度別には予後的漿膜面因子陽性(ps(+))症例には有意にNo.16転移率が高かった. 以上よりR4郭清術により,No.16の微小型転移リンパ節の郭清を成し得たと考えられたが,転移の有無を術中に判定するのは困難なため,2群リンパ節,特にNo.7,9,10,11を術中迅速診断にて検索し転移を認める場合と,ps(+)の場合は,積極的にR4郭清術を施行すべきであると考える.