25 巻 (1992) 11 号 p. 2779-2783
症例は57歳の男性. 胃検診にて胸部上部食道に隆起性病変を指摘され当科を紹介された. X線造影検査, 内視鏡検査, CTなどの所見から良性の食道粘膜下腫瘍が考えられ, 経頸部的に非開胸で腫瘤摘出を行った. 腫瘤は大きさ2.8×1.5×1.5cmで被膜を有さない弾性硬なものであった. 術後の病理学的検索にて, 悪性リンパ腫などとの鑑別を要したが, 粘膜関連リンパ組織 (mucosa-associated lymphoid tissue) の増殖により腫瘤を形成したと考えられる極めてまれな食道粘膜下腫瘍であった. 今後, 食道に限らず消化管の粘膜下腫瘍の鑑別診断に際して考慮すべきものであると考えられ, 若干の文献的考察を加えて報告した.