日本消化器外科学会雑誌
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In vivo低温肝灌流後の肝阻血障害に対するCo-enzyme Q10ならびにUlinastatinの細胞保護効果に関する検討
古川 一隆山中 若樹岡本 英三
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1993 年 26 巻 2 号 p. 193-202

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抄録

Co-enzyme Q10 (CoQ10), Ulinastatin (U) の肝冷阻血障害に対する細胞保護効果を, 雑種成犬を用いた生体内肝低温灌流モデルを用いて検討した.対照群 (薬剤非投与n=7), CoQ10群 (阻血1時間前10mg/kg iv, n=5), U群 (阻血1時間前5万U/kg iv, n=5) の3群間で, 肝機能および形態的変化を比較した.血行再開後Glutamic oxaloacetic transaminase値, β-glucuronidaseの逸脱酵素の上昇は3群間で差はなかったが, mitochondrial GOT値の上昇はU群で抑制された (p<0.05).ICGR15は, 再灌流6時間後はCoQ10群, とくにU群 (p<0.05) で改善が認められた.形態的にもCoQ10群, とくにU群で再灌流後の肝細胞質, mitochondria面積の増加, 類洞内皮細胞の配列の乱れおよびDisse腔側微絨毛の減少が抑制されていた.以上より, CoQ10ならびにUlinastatin阻血前投与は冷阻血障害に対する細胞保護効果を有すると結論できる.

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