症例は64歳の男性で, 昭和56年8月に胸部中下部食道癌 (A0N0M0Pl0, Stage I) にて右開胸開腹胸腹部食道全摘術および胸骨後経路頸部食道形成胃管吻合術を受けた.切除標本の病理組織診断は低分化型扁平上皮癌, 深達度ep, n (-) であった.術後10年目に嘔気と嘔吐を認めたため内視鏡検査を施行したところ, 門歯列より26cmの再建胃管内に径2.0cmの山田III型ポリープを認めた.生検結果は中分化型腺癌であった.超音波内視鏡検査で深達度mと診断されたため, 内視鏡的ポリペクトミーを施行した.切除ポリープは病理組織学的に乳頭状腺癌, 深達度mで断端における癌の浸潤も認めなかったため治癒切除と判断された.食道早期癌術後の再建胃管に発生した早期胃癌の本邦報告例は, これまでに自験例を含め3例のみときわめてまれであったが, 再建胃管癌46例の本邦報告例の検討からは, 早期発見のため術後の再建胃管の定期的な検索が必要であると思われた.