食道癌手術における高齢者を定義するために, 右開胸, 開腹操作にて手術を施行した食道癌切除症例517例を5歳間隔の7群に分けて以下の項目について検討を行った. 術前心電図異常は, 75歳以上群において70歳未満の各群と比較して有意に高頻度に発生し (p<0.05), PSP試験では75歳を境として, スパイロメーターにおける1秒量は65歳を境としてその前後の群間で有意差を認めた (p<0.05, p<0.01). 術後のPaO2の変動では70歳以上の2群に有意な低下を認め, Crnは65歳以上の3群で有意な上昇をみた. 合併症では75歳以上群の肺炎, せん妄の発症頻度はそれぞれ28.6%, 30.4%と他の群と比較して有意に高値を示した. 合併症死は70~74歳群は12.3%, 75歳以上群は17.9%であり, 75歳以上群のみ70歳未満の他の年齢群と比較して有意差を認めた. 以上の結果より, 食道癌手術における高齢者は75歳以上と定義するのが適当であると考えられた.