27 巻 (1994) 11 号 p. 2413-2418
癌の浸潤, 転移は多方面よりの検討がなされており, 特に近年細胞遊走刺激因子の関与が注目されている. 今回2種のヒト膵癌細胞株SW1990およびPANC-1を用い遊走能と肝転移能との関連, さらに培養上澄中における遊走刺激因子産生の可能性について検討を行った. SW1990, PANC-1のTranswell chamberを用いたMTT法による浸潤, 遊走能はそれぞれ22.6, 7.3%および33.3, 13.6%であり, SW1990が強い浸潤, 遊走能を示し, in vivoにおける肝転移能との相関が認められた.さらにSW1990無血清培養上澄添加にてPANC-1の遊走能は濃度依存性に増強し, SW1990より遊走刺激因子産生の可能性が示唆された. SW1990培養上澄添加にてPANG1は仮足を伸長した線維芽細胞様形態変化を示し, また無処理群ではヌードマウス脾内注射にて肝転移は認めなかったが, 処理群では類洞内への微小肝転移形成を認め, 同因子が浸潤, 転移に関与する重要な一因であることが示唆された.