27 巻 (1994) 8 号 p. 1899-1903
食道浸潤を有する上部胃癌182例の臨床病理学的特徴と, 縦隔リンパ節 (No.110, No.111, No.112) の検索が行われた91例の腹腔リンパ節との関係を検討し, 食道浸潤胃癌に対する合理的な治療法について考察した. 結果: 1) 縦隔リンパ節転移は深達度ssから9%の頻度で出現し, 深達度が深くなるにつれて高率となった. 2) 縦隔リンパ節転移は食道浸潤距離が1.0cmから出現し, 浸出距離だけから郭清不用例を限定できなかった. 3) 腹腔リンパ節のうち大動脈周囲リンパ節は, 縦隔リンパ節と同等の意義を有する重要なリンパ節であることが示唆された. したがって, 腹腔内に明らかな非治癒因子のない食道浸潤進行胃癌では, 食道浸潤距離に応じた侵襲の少ない縦隔アプローチ法を選択し, 縦隔リンパ節の郭清とともに大動脈周囲リンパ節を含めた積極的な腹腔内リンパ節郭清が合理的であり, 予後の改善を期待しうると考えられた.