日本消化器外科学会雑誌
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食道癌切除再建術後における重複癌の発生とその治療
食道, 胃重複例と食道, 口頸部重複例を中心として
池内 駿之島 伸吾岡本 哲彦有森 正樹
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1995 年 28 巻 10 号 p. 2077-2082

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抄録
食道癌382例中切除252例で再建は亜全胃にて行った. 食道, 他臓器癌の手術例は, 27例で, 食道再建術後の重複癌は9例 (3.6%) ですべて男性, 平均59歳と非手術例65歳に比べ若かった. 臓器は胃管5例, 口腔・舌3例, 下咽頭1例, 大腸1例であった. 発癌要因では多アルコール, 多タバコが食道癌単独に比べ重複例に顕著であった. 食道・胃重複例に家族内癌集積が多くあった. 食道・胃重複例の切除胃では, 高分化腺癌60%, 萎縮性胃炎が高度認められ発癌母地と考えられた. 血清ペプシノーゲンPGI, PGI/II比による萎縮性胃炎の検討では, 食道癌患者で術前および術後長期で著るしく低値をとるものがあった. 食道癌体質と食道手術の影響により萎縮性胃炎がおきることと考えられた. 胃管癌で胃癌死が多く, 1例では内視鏡にて早期発見治療が可能であった. 口, 頸部との重複症例の治療にはマイクロサージャリーの工夫が有効であった.
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