29 巻 (1996) 10 号 p. 1931-1937
胸部食道に対する頸部郭清の適応について, 鎖骨上と反回神経沿いリンパ節の術前超音波診断ならびに手術成績の面から検討した. 対象は1986年から93年にcl以上の切除を行った胸部食道癌136例 (3領域郭清105例, 2領域郭清31例) とした. 3領域郭清例において, 術前に鎖骨上リンパ節転移陰性とした84例中7例 (8.3%) に組織学的に転移が認められた. False negative 7例中5例は反回神経沿いに術前超音波診断および術中に転移を認めた. したがって, 術前超音波診断による鎖骨上リンパ節の転移の有無のみで頸部郭清を省略するのは危険であるが, 反回神経沿いリンパ節の術前・術中診断を加味すると97.6% (82/84例) の症例で頸部郭清の適応を術前診断にて判断可能であった. また術前に鎖骨上・反回神経沿いに転移陰性としたmp以上の症例における5生率は頸部郭清の有無に関係なく37%であった. 術前診断による鎖骨上または反回神経沿い転移陽性症例が頸部郭清の適応である.