日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
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手術侵襲による血行性転移促進についての検討
渡邊 英章岡原 仁志東山 明憲菅野 雅彦西村 和彦榊原 宣
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29 巻 (1996) 4 号 p. 863-867

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抄録

手術侵襲が血行性転移を促進するか, 促進するならばそれを抑制する方法はないかを実験的, 臨床的に検討した. 実験的検討には, マウスの尾静脈より腫瘍細胞を移植する肺転移モデルを用いた (n=5). 開腹手術侵襲後, 転移結節数は増加したが, OK432を術前経口投与すると, 結節数は増加しなかった. BRMの術前投与が手術侵襲による転移促進を抑制したと考えられた. そこで, 胃癌手術例146例を対象とし臨床的検討を行った. Con A刺激リンパ球幼若化能はStage III, IVで, NK活性はStageにかかわらず術後低下していた. これに対して, OK 432 5KEを術前, 5回経口投与した群 (n=61) のリンパ球幼若化能はStage III, IVで, NK活性はStage IIIで, 術後の低下が抑制された. これらのことから血行性転移の抑制に対してNK細胞は大きな役割を演じており, 手術侵襲によるその機能低下が, 術後の転移促進の原因の1つと考えられた. BRMの術前投与は機能低下を抑制し, 転移を抑制する可能性が示された.

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