日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
早期胃癌に併存し血中および肝嚢胞液中carbohydrate antigen19-9が異常高値を示した肝嚢胞の1例
神森 眞小林 薫中村 卓郎小長谷 一郎山口 浩和上西 紀夫大原 毅遠藤 久子佐々木 毅
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29 巻 (1996) 5 号 p. 1045-1049

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抄録

症例は70歳の女性. 上部消化管内視鏡検査で胃幽門前庭部にIIcを, 腹部CT, 腹部超音波検査で肝S2, 3領域に3cm大の肝嚢胞を認め, 血中CA19-9は106.2u/mlと高値を示した. 幽門側胃切除術+D2郭清施行. この時, 肝嚢胞穿刺を施行し無色透明漿液性の嚢胞液7mlを吸引した.嚢胞液中CA19-9は, 21,280U/mlと異常高値を示した. 病理組織学的には胃切除標本は, 高分化型腺癌が優勢像を示した. 術後の血中CAI9-9測定では3か月目に26.7U/mlと正常化を示したが, 6か月目に再び43-5U/mlと上昇を示し術後1年たった現在も37U/ml以上を維持している. これらの経過より, CA19-9が良性肝嚢胞上皮より産生されていると判断した. CAI9-9産生肝嚢胞は, 自験例を含め本邦では7例報告されているのみであり, 極めて稀なものであるが一部には悪性化するとの報告もある. 今回, 我々は早期胃癌に併存しCA19-9高値を示した肝嚢胞を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する.

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