日本消化器外科学会雑誌
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迷走神経性胃酸分泌による難治性吻合部潰瘍をきたした十二指腸壁内ガストリノーマの1例
太田 博文上田 進久松永 征一前浦 義市秋月 英治久本 卓司冨田 和義
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29 巻 (1996) 7 号 p. 1658-1662

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抄録

十二指腸壁内ガストリノーマの切除後, 迷走神経性胃酸分泌が原因の吻合部潰瘍をきたした症例を経験した. 50歳の女性, 胃潰瘍のため加療中, 空腸穿孔をきたし, 幽門側広範囲胃切除と空腸部分切除を受けた. 術後の血清ガストリン値1,224pg/mlでセクレチン負荷テストが陽性のためガストリノーマと診断された. 選択的動脈内セクレチン注入試験で胃十二指腸動脈領域に局在を確認し, 平成4年12月に膵頭十二指腸切除を施行した. 迅速ガストリンアッセイによる術中セクレチン負荷テストで陰性を確認し, 残胃を温存する再建を行ったが, 血清ガストリン値が正常にもかかわらず, 胃空腸吻合部に潰瘍による狭窄をきたした.迷走神経性胃酸分泌亢進が原因と考え, 迷切および狭窄部切除を行い, 治癒しえた. 腫瘍局在診断法の発達により胃を温存する術式が選択されつつある今日, 術後迷走神経性の吻合部潰瘍の発生の可能性があるため残胃を温存する場合には迷切を考慮すべきであると思われる.

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