20歳未満で発症する肝細胞癌は少なく, またそのほとんどはB型肝炎のキャリアーである. 今回, 我々は肝炎既往のない17歳男性の肝細胞癌を経験した. 症例は腹痛で発症し, 両葉にまたがる多発性肝腫瘍が指摘された. 入院精査中に腫瘍の破裂を示唆する強度の腹痛をきたし動脈造影を施行されたが, 造影剤の漏出は認めなかった. 肝動脈塞栓療法が施行され, 腫瘍へのリピオドールの集積は良好であった. しかし腫瘍は完全壊死には至らなかったため発症1年後に当院に紹介され, 肝左三区域切除を施行された. 腫瘍は低分化型肝細胞癌で非癌部には肝炎を認めなかった. また血清の肝炎関連ウイルスマーカー, HBV-DNA, HCV-RNAはすべて陰性であった.