日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
Phosphatidylinositol phospholipase Cを用いたcarcinoembryonic antigen可溶化の試みと腹腔洗浄細胞診への応用
辻 恭嗣須原 貴志加藤 元久鷹尾 博司杉山 保幸国枝 克行梅本 敬夫宮 喜一深田 代造佐治 重豊
著者情報
ジャーナル フリー

30 巻 (1997) 7 号 p. 1725-1733

詳細
PDFをダウンロード (16788K) 発行機関連絡先
抄録

腹腔内洗浄細胞診施行時にphosphatidylinositol phospholipase C (PI-PLC) を添加し, 癌細胞膜表面のcarcinoembryonic antigen (CEA抗原) を遊出させるPI-PLC法を考案し, 腹膜播種性転移 (P) 診断法としての有用性を検討した. 基礎的検討: 1) CEA産生KATO-IIIを用いた検討でCEA濃度は, PI-PLC添加により約1.7倍に増加した. 2) CEA濃度はPI-PLC添加時間, 標的癌細胞数依存性に増加した.臨床的検討: 胃癌81例を対象に開腹時細胞診, 細胞CEA染色, PI-PLC法を施行した. 1) P陽性12例の陽性率は細胞診が91.6%, 細胞CEA染色が75.0%, PI-PLC法が83.3%, 陰性69例ではおのおの2.9%, 4.3%, 7.2%であった. 2) PI-PLC法によるCEA感度増強程度は1.8から600倍で, 陽性例の特徴は臨床病理学的にも顕微鏡レベルの腹膜転移が十分推察される症例であった. 3) Postage IIIでPI-PLC法陽性であった2例中1例に腹膜再発を認めた. 以上より, PI-PLC法は胃癌腹膜播種性転移の客観的診断法として有用であると考えられた.

著者関連情報
前の記事 次の記事

閲覧履歴
feedback
Top