日本消化器外科学会雑誌
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右水腎症を合併した結石を伴った穿孔性虫垂炎の1例
宮田 博志田村 茂行岡川 和弘岸 健太郎西岡 清訓請井 敏定上村 佳央宮内 啓輔金子 正水谷 澄夫
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1997 年 30 巻 7 号 p. 1794-1798

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抄録
今回, 我々は虫垂結石により発症した右水腎症のまれな1症例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例は25歳の男性で, 下腹部痛を主訴に当院内科を受診した. 腹部CT, DIPにて右下腹部結石と右水腎症を認め, 小腸造影検査では回盲部の変形があり右尿管結石, Crohn病疑いで当科紹介となった. 逆行性腎盂造影, 注腸造影検査にて虫垂結石が原因の水腎症と診断し手術を施行した. 虫垂根部に1.5cm大の結石と, その先端側に虫垂穿孔を認め, 右尿管は肉芽組織によって狭窄しており, 虫垂切除および右尿管剥離を行った. 術後16日目には水腎症はほぼ軽快していた. 本症例は虫垂結石により虫垂穿孔がおこり, 慢性的な回盲部周囲炎による肉芽組織のため右尿管狭窄をきたし右水腎症に至ったものと考えられた.
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