症例は46歳の男性. 18歳時胃潰瘍の既往がある. 5年前から食後の腹部膨満感があり流動食を主食としてきたが, 1994年7月吐血し入院した. 胃潰瘍, 十二指腸潰瘍による幽門狭窄症と診断し胃切除術を施行した. 切除標本にて胃角部の潰瘍と幽門部筋層の肥厚を認めた. 病理組織学的に幽門部には2次性の筋層肥厚を示唆するような炎症性細胞浸潤, 線維化やAuerbach 神経叢の変性を認めず, 原発性の筋肥厚性幽門狭窄症と診断した. 成人の筋肥厚性幽門狭窄症は極めてまれな疾患であるが, 幽門狭窄をきたす疾患のひとつに本疾患を想起し, 特徴的なX線, 内視鏡所見に注意すれば術前診断も可能と考えられた.