32 巻 (1999) 11 号 p. 2505-2511
進行食道癌の気道への浸潤の診断における経気管支超音波検査 (transtracheobronchial ultrasonography: 以下, TBUS) の有用性について検討した. 検査には周波数20MHzの細径超音波探触子UM-3R (オリンパス社製) と気管支鏡ST30 (同社製) を使用した. 剖検標本の超音波像と病理組織像を対比し, 気管の5層構造を確認した後, CTで気管・気管支への癌浸潤が疑われた食道癌19例を対象に検査を施行した. 気管・気管支壁は5 層に描出され最外層の高エコー層が外膜層に一致した. 低エコー層として描出される食道病変により気管・気管支最外層に断裂がみられた場合を浸潤ありとした. 浸潤ありと判定した13例中9例に手術を行い全例に気道への浸潤が認められた. 一方, 浸潤なしとした6例全例に手術を行い, 浸潤のないことが確認された. 検査時呼吸循環動態に著明な変化はなかった. TBUSはCTより正確に層構造描出可能なため, 食道癌の術前気道浸潤診断に有用と思われた.