日本消化器外科学会雑誌
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腫瘍進行度と肝機能の両者からみた肝細胞癌に対する最適治療の選択
佐々木 洋今岡 真義山田 晃正石川 治大東 弘明古河 洋甲 利幸平塚 正弘亀山 雅男安田 卓司村田 幸平中野 博史春日井 博志
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1999 年 32 巻 4 号 p. 1042-1047

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抄録
1997年12月までのHCC症例のうち, 肝切除 (A) 654例, PEIT (B) 109例, TAE (C) 701例を対象として, HCCに対する治療戦略を癌の進行度と肝機能の両面から検討した. StIをさらに臨床病期 (CS) 別にわけ, 5・10生率を比較したCSIでは, A;67%・50%に比べ, B;46%・0%(A: B;NS), CSIIでは, A;61%, 10%, B;47%・35%, C; 27%・0%(A: C, B: C;p<0.05, A: B;NS) であった.StIIでは, 5・10生率は, A;57%・33%, B;0%・0%, C;19%・0%(A: B, C;p<0.0001) で, A群が他群に比べ, 有意に良好であった.StIIIでは, CSI・IIともに, A群はC群に比べ, 有意に良好な5生率を示したが10生率では差をみなかった.StIVのPEIT適応例 (3cm以下, 3個例) の5生率の比較では, A;53%, B;66%, C;26%で, 有意差はなかった.比較的肝機能良好例においては, StI・II・IIIは, 肝切除がよい.特に, StIIの臨床病期Iは肝切除の最適病態である.StIVの3cm以下, 3個の症例では, PEITでもよい.
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