日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
長期予後とQOLからみた膵癌の外科治療方針
とくに血管合併切除の適応について
高橋 利幸杉浦 博伊藤 清高大野 耕一奥芝 俊一加藤 紘之
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32 巻 (1999) 4 号 p. 1107-1111

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抄録

過去10年間の教室入院例を対象として, 長期生存率と術後のQOLから, 膵癌に対する門脈, 動脈合併切除再建の適応について検討した. 対象例の切除率は54%で, そのうち門脈単独の合併切除再建は36.8%に, 動・門脈合併切除再建は8.8%に施行した. 門脈単独切除例では血行再建を行わなかった切除例と比べ, 術後の合併症, 直接死亡率, 生存率に差を認めなかった. 動・門脈合併切除例では術後の合併症, 直接死亡は高率で, 生存率は血行再建を行わなかった切除例に比べて悪く, 平均生存はわずか7か月であった. これは非切除例とも差はなかった. さらに, 動・門脈合併切除例では非切除例と比べて在宅生存日数も改善をみなかった. 以上から進行膵癌に対する門脈合併切除は門脈浸潤例の予後を非浸潤例と同等にまで改善しうるが, 動脈浸潤例に対する動・門脈合併切除再建はその適応がないと考えられた.

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