34 巻 (2001) 11 号 p. 1680-1684
症例は55歳の女性. 検診にて便潜血反応陽性を指摘され, 平成7年1月大腸内視鏡検査にてRaにIIa様の1.5cmの病変を認め, ポリペクトミーを施行. 病理組織学的に高分化型腺癌, sm1, ly (-), v (-), 断端陰性と診断された. 経過観察中, 便秘傾向となり, 平成11年3月, Raに1/3周を占める粘膜下腫瘍様の病変を認め, 高分化型腺癌の診断であった. また, 同時に多発性肺転移も認めた. 平成11年4月, 低位前方切除術施行. 病理組織学的診断は中分化型腺癌, se, ly1, v1, n (-)で粘膜下以深に深く浸潤していた. 初回ポリペクトミー標本の再建にて静脈侵襲陽性であり, その再発と診断した.隆起型早期大腸癌に対する低侵襲性治療法としてのポリペクトミーに異論の無いところだが, 癌遺残の有無についての内視鏡観察, 病理医との連携による病理組織学的検索, 追加腸切除の適応については十分慎重でなければならないと思われる.