日本消化器外科学会雑誌
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特発性直腸破裂の1手術例
関根 祐樹一瀬 亮吾福森 龍也鈴木 雄遠藤 義洋北村 道彦
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2001 年 34 巻 12 号 p. 1780-1784

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抄録

症例は63歳の男性で, 突然の腹痛で発症し, 来院. 下腹部が板状硬で圧痛, 筋性防御を認めた. 腹膜炎の診断で緊急手術を施行した. 腸間膜に覆われていた大量の凝血塊と便汁, そして中部から下部直腸に10cmにわたる裂傷を認め, 人工肛門を造設した. 術後エンドトキシン吸着, 人工呼吸器装着, 輸血などの集中治療を行い, 良好な結果が得られた. 悪性腫瘍, 憩室, 異物, 炎症性腸疾患あるいは医原性などが原因となっていないものが特発性大腸破裂と呼ばれている. 大腸の特発性破裂はS状結腸に70~80%と多く, 直腸の発生例の報告は5~10%と非常にまれである. 直腸破裂では腹膜翻転部直上が最多で手術操作に難渋することが多い. 術前の確定診断が困難であり, 腹膜炎の中でも生体に及ぼす侵襲が大きく, 全身的な炎症症状を呈し, 敗血症性ショックとなることが多く, 術後成績はいまだ不良である.

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