34 巻 (2001) 5 号 p. 480-484
腹膜播種を伴うgastrointestinal stromal tumor (以下, GISTと略記) の1例を経験したので報告する. 症例は73歳の男性. 胃癌検診にて胃彎隆部の陰影欠損を指摘され, その後タール便出現したため, 当院紹介入院となった. 転院後の内視鏡にて胃体上部から胃彎隆部にかけて巨大な粘膜下腫瘍を認め, その一部に潰瘍を形成し出血していた. 胃粘膜下腫瘍の診断で手術を施行. 腫瘍は左上腹部全体を占める巨大な腫瘤で, 脾臓への浸潤が疑われたため, 胃全摘, 膵脾合併切除術, D2郭清術を施行した. また, S状結腸間膜に腫瘤を認め, 併せて切除した. 病理組織学的にはmalignant GIST uncommitted type, n (-), 膵脾浸潤 (-) で, S状結腸の腫瘤は, GIST腹膜播種の診断だった. また, 免疫染色学的にはCajalの介在細胞との関連が示唆された. 本症例は高悪性度群のGISTに属すると考えられ, 今後厳重な経過観察が必要と考えられた.